オフィス街 vs 住宅街、飲食店が稼げるのはどっち?

飲食店の出店を考えるとき、立地条件のなかでも特に悩ましいのが「エリアの特性」です。
駅前かどうか、人通りが多いか少ないかも重要ですが、それ以上に「オフィス街か住宅街か」という視点は切り離せません。

なぜなら、同じ飲食業でもエリアによってピークタイムや売れ筋メニューが大きく変わるからです。オフィス街と住宅街では、お客さんのライフスタイルも行動パターンもまったく違います。どちらに出店するかで戦略は180度変わる、といっても過言ではありません。

この記事では、オフィス街と住宅街の特性を深掘りしながら、それぞれに強い業態や注意点を整理していきます。

オフィス街が持つ「ランチ特化型」の強み

オフィス街の最大の特徴は、とにかく平日の昼間に人が集中することです。
朝は出勤ラッシュで人の波が押し寄せ、昼休みにはオフィスワーカーが一斉に街へ出てきます。多くの飲食店にとって、ランチタイムの1〜2時間が売上の大半を占めるほどの稼ぎ時です。

特に需要が高いのは「短時間で食べられるメニュー」。オフィスワーカーに与えられた昼休みは長くても1時間。並んで食べ、休憩をして、また午後の仕事に戻る。その限られた時間の中で満足できる料理が求められます。
丼もの、定食、ラーメン、カレーといったメニューが強いのはそのためです。

また、オフィス街では「コスパの良さ」も重要なポイントです。毎日外食をする人も多いため、1000円前後で食べられるランチが圧倒的に支持されます。高すぎれば継続利用は難しく、安すぎてもクオリティに不満が出る。その絶妙な価格帯をどう攻めるかが鍵となります。

オフィス街の弱点:夜と休日の閑散

ただしオフィス街は、夜や休日になると人通りが一気に減るという弱点があります。
会社帰りに飲みに行く需要はありますが、それは駅近くや繁華街寄りの店舗に集中しがち。オフィスビルに囲まれた路地裏の店は、平日夜や土日になると驚くほど静かになることも珍しくありません。

そのためオフィス街で飲食店を経営する場合、「ランチでいかに稼ぎ切るか」「夜は宴会や接待など特別需要をどう取り込むか」が生き残りのポイントとなります。夜の集客が弱いからこそ、デリバリーや仕出し弁当といった補助的なビジネスモデルを導入する店舗も増えています。

住宅街が持つ「夜と週末の強み」

一方で住宅街の飲食店は、まったく違うリズムで動きます。
昼間は人が仕事や学校に出かけてしまうため人通りは少なく、ランチ需要は限定的です。専業主婦や在宅勤務の人をターゲットにするなら成立しますが、オフィス街ほどの爆発力はありません。

しかし夜になると状況は一変します。仕事を終えた家族が帰宅し、夕食を外で済ませたい人、友人や家族とゆっくり食事を楽しみたい人が増えてきます。住宅街の飲食店にとってのゴールデンタイムは「夜」と「週末」なのです。

さらに住宅街で強いのは「リピーターを獲得できること」です。近所に住んでいる人が日常的に通えるような価格帯、雰囲気、安心感を提供できれば、安定した売上を維持できます。特に子ども連れでも入りやすいカジュアルな店は重宝され、地域の“定番店”として長く愛される存在になります。

住宅街の弱点:日中の集客難と回転率の低さ

住宅街の弱点は、やはり日中の人通りの少なさです。
平日の昼間に営業をしても空席が目立つことが多く、ランチ主体の業態では採算が合いにくい傾向があります。また、夜は客単価が高くなる分、滞在時間も長くなり、回転率が下がることもしばしば。

つまり住宅街では「1人あたりの売上」をいかに高めるかが課題となります。ドリンクやデザートなど追加注文を促す工夫、家族連れが頼みやすいセットメニューの開発など、戦略的に単価を上げる必要があるのです。

オフィス街と住宅街、それぞれに合う業態とは?

オフィス街に向いているのは「短時間・低価格・高回転」を実現できる業態です。ラーメン店、立ち食いそば、カレーショップ、丼もの専門店などは典型例です。夜は居酒屋やバルに姿を変えて、会社員の二次会需要を取り込む店も少なくありません。

住宅街に向いているのは「ゆっくり・安心・日常使い」ができる業態。ファミリーレストラン、焼肉屋、寿司屋、カフェ、パン屋などが定番です。特に住宅街では“子ども連れ歓迎”や“テイクアウト可”といった柔軟さが評価されやすい傾向があります。

ハイブリッド戦略という選択肢

最近では「オフィス街と住宅街の中間的なエリア」に注目する出店者も増えています。
例えば再開発でタワーマンションとオフィスが混在するエリアや、駅から少し離れた場所に広がる商業エリアなどです。こうした場所では昼はランチ需要、夜は住民のディナー需要を両方取り込める可能性があります。

また、デリバリーやテイクアウトの普及によって、昼間は近隣オフィス向け、夜は住宅向けにサービスを切り替えるなど、立地に縛られない戦略を取る店も出てきました。

まとめ:立地の特性を見極めて“時間帯”で勝つ

オフィス街と住宅街は、まったく異なる特性を持っています。
• オフィス街は「昼に稼ぎ切る」戦略が基本。短時間・低価格・高回転が勝ち筋。
• 住宅街は「夜と週末を制する」戦略が基本。リピーター獲得と客単価アップが肝。

どちらが正解かではなく、自分の業態や狙う客層にどちらが合うのかを冷静に判断することが大切です。

飲食店にとって立地は「一度決めたら簡単に変えられない要素」。だからこそ、オフィス街と住宅街、それぞれの強みと弱みを理解したうえで、自分の店が“どの時間帯に勝負するのか”を明確にすることが成功への近道になるのです。

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