カウンター席とテーブル席、個室それぞれの最適な席数バランス
業種ごとにおすすめのレイアウトとメリットデメリット
飲食店を開業する際、店内のレイアウトと席数バランスは売上に直結する重要な要素です。最適な席数配分は業態によって大きく異なり、ターゲット客層や提供する料理、回転率の目標などによって決まります。この記事では、カウンター席、テーブル席、個室それぞれのメリット・デメリットを解説し、業種別におすすめのレイアウトをご紹介します。
1. 席タイプ別の特徴とメリット・デメリット
カウンター席
メリット:
- 少ないスペースで多くの客席を確保できる
- 一人客が入りやすい雰囲気を作れる
- 調理の様子が見えることで料理の価値向上につながる
- スタッフの動線が短く、少ない人数での運営が可能
- 料理提供のタイミングをコントロールしやすい
デメリット:
- 大人数での来店に対応できない
- プライバシーが少なく、ビジネス会話などには不向き
- 長時間滞在には向かないことが多い
- 座席の回転が求められる場面では客に圧迫感を与えることも
テーブル席
メリット:
- 様々な人数の来店に対応できる
- くつろいだ雰囲気で食事を楽しめる
- レイアウト変更が比較的容易
- 長時間滞在型の業態に適している
- テーブルサイズによって客単価コントロールが可能
デメリット:
- スペース効率がカウンターより劣る場合が多い
- ホール担当のスタッフが必要になる
- 一人客が入りづらいと感じる場合がある
- 配膳・下膳の動線が長くなりがち
個室
メリット:
- プライバシーが確保でき、接待や記念日利用などの高単価需要を取り込める
- 他の客を気にせず会話や食事を楽しめる
- 空間の演出で特別感を出しやすい
- 料理のコース提供との相性が良い
- 予約客の確保により売上の安定化が図れる
デメリット:
- 席数あたりの必要面積が大きい
- 改装コストが高くなりがち
- 稼働率の管理が難しい(空室時間の発生)
- スタッフの目が行き届きにくい
- 防音や換気の対策が必要
2. 業種別おすすめのレイアウトと席数バランス
寿司店・鮨屋
理想的な席数バランス:
- カウンター席: 60~70%
- テーブル席: 20~30%
- 個室: 0~20%
解説: 寿司店では伝統的にカウンター席が中心です。職人の技を間近で見ることが価値となり、握りたての寿司をすぐに提供できるメリットがあります。一方で、家族連れやグループ客のためにテーブル席も備えておくと客層が広がります。高級店では少数の個室を設けることで接待需要も取り込めます。
事例: 都内の人気鮨屋「鮨 青木」では、10席のカウンターと2つの個室(4名席×2)というバランスで、カウンター席では職人との対話を楽しむ常連客を、個室では特別な日の利用や接待客を取り込むことで高い稼働率を実現しています。
居酒屋・ダイニングバー
理想的な席数バランス:
- カウンター席: 20~30%
- テーブル席: 50~60%
- 個室: 10~30%
解説: 居酒屋は多様な客層・人数に対応するため、テーブル席中心のレイアウトが基本です。テーブル席は4名掛けを基準に、レイアウト変更可能な仕様にしておくと便利です。カウンター席は一人飲み需要や常連作りに効果的で、個室は宴会需要を取り込むために重要です。
事例: 「旬菜酒場 いろどり」では、全70席のうちテーブル席40席、カウンター席12席、個室席18席(6名×3部屋)という構成で、平日の一人客からウィークエンドの宴会まで幅広く対応し、稼働率の平準化に成功しています。
カフェ・喫茶店
理想的な席数バランス:
- カウンター席: 20~40%
- テーブル席: 60~80%
- 個室: 0~10%
解説: カフェでは長時間滞在型の利用が多いため、テーブル席を中心としたレイアウトが基本です。窓際のカウンター席は一人作業する客に人気があり、効率よく席数を増やせます。個室はあまり一般的ではありませんが、学習スペースや貸切スペースとして設けるケースもあります。
事例: 「モーニングブリーズカフェ」では、全40席のうちテーブル席28席(2名席×8、4名席×3)、窓際カウンター12席という構成で、一人客と複数人での来店の両方に対応。カウンター席利用者の回転率が高く、安定した売上を確保しています。
ラーメン店
理想的な席数バランス:
- カウンター席: 70~90%
- テーブル席: 10~30%
- 個室: 0%
解説: ラーメン店は回転率重視の業態のため、カウンター席中心のレイアウトが効率的です。調理場との距離を近くすることで、少ないスタッフでの運営が可能になります。ただし、最近では家族連れにも対応するため、一部テーブル席を設ける店舗も増えています。個室はほとんど見られません。
事例: 人気ラーメン店「麺屋 風雲」では、全24席中カウンター席が18席、テーブル席が6席(2名席×3)というレイアウトで、昼は一人のビジネスマン、夜は少人数グループにも対応。カウンター席中心の効率的な運営で平均滞在時間20分という高回転を実現しています。
高級料亭・割烹
理想的な席数バランス:
- カウンター席: 0~30%
- テーブル席: 0~30%
- 個室: 40~100%
解説: 高級料亭では、プライバシーと特別感が重視されるため、個室中心のレイアウトが基本です。個室は4名〜8名程度のサイズが使い勝手が良く、間仕切りで広さを変えられる設計も有効です。一部にカウンター席を設けることで職人の技を見せる演出や一見客の取り込みも可能になります。
事例: 「割烹 松風庵」では、全30席のうち個室が24席(4名個室×3、8名個室×2)、カウンター席が6席という構成。個室では会席料理をゆったり楽しめる環境を提供し、カウンター席では季節の食材を活かした職人技を見せる演出で、異なるニーズに対応しています。
イタリアン・フレンチ
理想的な席数バランス:
- カウンター席: 10~20%
- テーブル席: 60~80%
- 個室: 10~20%
解説: 西洋料理店ではテーブル席を中心に、特別感を演出するための個室、そしてオープンキッチン前のカウンター席という構成が理想的です。テーブル席は2名席と4名席のバランスが重要で、連結可能な仕様にしておくと団体客にも対応できます。
事例: 「リストランテ ポモドーロ」では、全50席のうちテーブル席が36席(2名席×12、4名席×3)、オープンキッチン前のカウンター8席、個室6席(6名×1)という構成。カップルから団体まで幅広く対応でき、カウンター席ではシェフとの会話を楽しむリピーターも多いです。
3. 席数バランスを決める際の重要ポイント
客層と利用シーンの分析
開業予定地域の人口動態や競合店の状況を調査し、ターゲットとする客層の利用シーンを具体的に想定することが大切です。例えば、オフィス街であれば昼はビジネスランチ、夜は接待や同僚との飲み会に対応できるレイアウトが求められます。
投資回収計画との整合性
席数は売上上限を決定する要素です。客単価×席数×回転率×稼働率で売上の理論値が計算できるため、投資回収計画と照らし合わせて必要席数を割り出しましょう。ただし、単純に席数を増やせば良いわけではなく、快適な空間づくりとのバランスが重要です。
スタッフ数と動線の効率性
運営スタッフ数に見合った席数設計が必要です。特にオープン直後はスタッフの習熟度も低いため、無理のない席数でスタートし、運営が安定してから増席を検討するアプローチも賢明です。また、配膳・下膳の動線や厨房からの距離も考慮したレイアウト設計が求められます。
物件の形状と制約
理想的なレイアウトがあっても、物件の形状や柱の位置、給排水管の場所などによって制約を受けます。これらの制約をポジティブに捉え、空間の特性を活かしたユニークなレイアウトを考案することも差別化ポイントになります。
4. 客席レイアウトの最新トレンド
多目的に使える空間づくり
昨今のトレンドとして、時間帯や曜日によって客層が変わることを前提とした多目的レイアウトが増えています。例えば、昼はカフェ、夜は居酒屋という業態転換に対応できるよう、可動式の家具や照明の調光機能を活用した空間づくりが注目されています。
ソーシャルディスタンスへの配慮
感染症対策の意識は今後も継続すると考えられ、適切な席間距離の確保や、パーテーションなどを活用した半個室的な空間づくりが求められています。これは必ずしもマイナス要素ではなく、プライバシー向上というメリットとしても捉えられます。
デジタル化への対応
タブレット注文やキャッシュレス決済の普及に伴い、テーブルのサイズや配置にも変化が生じています。また、SNS映えを意識した「フォトジェニックスポット」を店内に設けることで、集客力アップにつなげる工夫も重要です。
5. まとめ:理想的な席数バランスを実現するためのステップ
- ターゲット客層と提供価値の明確化
誰に、どんな体験を提供したいのかを明確にし、それに適した席種の優先順位を決めます。 - 物件選びの段階から席数計画を考慮
理想的なレイアウトが実現できる物件を選ぶことが、後のコスト削減や運営効率化につながります。 - 柔軟性を持たせた設計
開業後の運営状況に応じてレイアウト変更ができるよう、固定設備は最小限にとどめることも検討しましょう。 - プロの知見を活用
店舗設計の専門家や、同業態の経験者のアドバイスを取り入れることで、机上では気づかない実践的なポイントが見えてきます。
飲食店のレイアウトと席数バランスは、単なる空間設計ではなく、ビジネスモデルを形にする重要な要素です。業態に合った最適なバランスを見つけ、心地よい空間と効率的な運営の両立を目指しましょう。
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