飲食店の開業時、個人事業主と法人化どちらを選ぶ?
飲食店の開業時に、個人事業主と法人化のどちらを選ぶのが良いか、迷う方はいらっしゃると思います。個人事業主が居住物件を借りる際、審査が非常に厳しいことから、店舗物件を借りるなら法人化したほうがいいのでは、との考える方もいらっしゃると思いますが、実はそうとは言い切れません。個人事業主・法人化それぞれのメリット、デメリットを比較し、物件を決める際のポイントをご紹介していきます。
そもそも個人事業主と法人化の違い
飲食店の開業には、「個人事業主として開業する」と「会社を設立する」方法があります。 後者が法人化といわれるものです。まずはそれぞれの主な特徴を述べていきます。
■個人事業主の場合
個人事業主の場合、税務署に「開業届」を提出するだけで開業できます。確定申告で納める税額を確定させますが、所得税は累進課税のため、所得が低いうちは税額を抑えられるのがメリットです。ただし、計上できる経費の範囲が法人に比べて少ないです。
開業が簡単にできるので、融資申請も早く、融資の審査で法人に劣ることはありません。しかし、融資の中には、事業が傾いたときの融資の責任が個人に帰属するものもありますので、注意しましょう。
■会社を設立した場合
一方で、法人化はやるべきことが多く、設立費用がかかります。さらに会計や税金の申告が個人事業主に比べて複雑ですが、法人税は基本的に一定です。個人事業主の所得税は累進課税であるため一定の所得に達した場合は、法人を設立していた方が税率が低くなります。
経営者の給料も経費として参入でき、家族の給料も経費として計上が可能となります。また社会的信用が高いことがメリットです。

飲食店の開業には「個人事業主」がおすすめです
上記で説明したように個人事業主、法人化、それぞれにメリット、デメリットがありますが、飲食店開業時は多くの場合、「個人事業主」がおすすめです。実際に、はじめから大きな利益が出ることが想定されている、共同経営ではじめる、といったケースを除き、ほとんどの経営者が個人事業主からスタートしています。
ここからは個人事業主として開業した際のメリットを紹介します。まず、開業には店舗の工事などで大きな開業費用がかかりますが、個人事業主なら会社の設立費用はかかりません。そもそも、飲食店は「屋号(店名)」にブランド力を持たせ、有名にしていくことが大切であり、「商号(会社名)」は必要ありません。そのため経営が軌道に乗るまでに一定の期間は、個人事業主として展開することで、税額を抑えられる可能性が高いです。
個人事業主は事業用物件契約はできる?
ここで皆さんが気になるポイントは個人事業主が事業用物件を契約できるかということかと思います。制度上では資本金1円で会社設立ができるため、「株式会社=安定」ではなくなっています。しかし、収入が不安定、開業届1枚で起業できてしまう、といった点から個人事業主は社会的信用度が低いとされる傾向があります。
特に開業して間もないともなれば、なおさら社会的信用度が低いため、事業用物件の契約が難しいケースもあります。しかし、契約形態を正しく理解し、事前の準備をしっかりとすれば、契約を締結することは十分に可能です。
事業用物件の賃貸で結ぶのは「個人事業用契約」
また個人が居住用物件を借りる場合に個人契約をするのに対し、個人事業主が事業を行う目的で物件を借りる場合、「個人事業用契約」になります。個人事業用契約では、事業を何年継続できているか、売上げはどれくらいかなど、事業が信用に値するが審査されます。そのため、住民票や印鑑登録証明書、通帳や保証人などに加え、確定申告書や納税、所得証明書などの書類が必要となります。
そこで気をつけたい、大切にしたいのが次の点です。
審査では人柄が重要視されるので、身だしなみに注意しましょう。経営者として、きちんと身分を証明するために、名刺を作っておくこともおすすします。事業計画書などを用意し、経営に関するシミュレーションを提示してください。ここでは、一般的な計画書に加え「家賃の支払い能力がある」ことを示す内容で作成することがポイントです。また貯蓄がある場合、貯蓄額を開示することで収入の不安定さをカバーできる旨もアピールしましょう。
事業計画書については以下にまとめているので、併せて読んでいただければと思います。
コロナ禍を経て、地域に密着した小さな飲食店への需要は増えています。個人事業主として、理想のお店つくりをしていきましょう。
◯会社概要
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