飲食店に義務化されている衛生管理手法HACCPとは?!
2020年6月より、飲食店は「HACCP(ハサップ)」という衛生管理手法の導入が義務化されましたが、言葉だけを聞いても、意味が分からないと思います。そこで、今回はHACCPはそもそもなにか、どのように導入すればいいかを記載していきます。
HACCPとは
そもそもHACCPとは、アメリカのアポロ計画の中で宇宙食の安全性を確保するため、発案された衛生管理手法です。宇宙には病院がなく、ウイルスなどに感染してしまうと治療することができません。近年、その宇宙で使われている厳重な衛生管理が食品業界に評価され、世界に広まりました。
HACCPとは以下の頭文字からきています。
H (Hazard) : 危害
A (Analysis) : 分析
C (Critical) : 重要、必須
C (Control) : 管理
P (Point) : 点
上記のようにHACCPとは5つの単語から構成されており、それぞれに意味があります。しかし、上記だけでは意味が分からないと思いますので、この5つを二つの段階に分けて考えることができます。
HA (危害要因分析)
まず一つ目の、Hazard(危害)、Analysis(分析)は「危害要因分析」という段階です。「危害要因」とは、混入する恐れのある有害物質、または異物や微生物、細菌のことを指し、危害要因分析とはこの要因を予測し、管理する方法を分析してルール化する段階のことを指します。
CCP (重要管理点の管理)
次に二つ目の、Critical(重要、必須)、Control(管理)、Point(点)は「重要管理点」の意味があります。「重要管理点」とは、HA(危害要因分析)で分析した危害要因を、減少させ、除去するため、特に重要な調理工程を管理することを指します。重要管理点は業種や業態、メニューによっても異なりますが、加熱や冷却の段階で食品が細菌の繁殖しにくい温度帯にする、包装の段階で切れ端などの異物が混入しないよう管理することがこれにあたります。
HACCP導入のための必要事項
ここからは、実際に導入しようとしたとき、飲食店のオーナーにはどのようなことが求められるのかについて解説していきます。
衛生管理計画表の作成
まずは衛生管理計画表を作成します。衛生管理計画表を作成するには、「一般衛生管理」と「重要管理点の管理」の2点に分け考え、構成する必要があります。
一般衛生管理
HACCPの基礎となる調理環境の衛生管理の要素として以下があげられます。
・原材料の受入
・従業員の健康管理、衛生管理
・交差汚染、二次汚染の防止 (器具等の消毒・殺菌や洗浄、トイレの洗浄等)
・冷凍庫、冷蔵庫の温度管理
これらの管理項目は、どの食品に対しても共通して行わなければならない事項です。これらの項目に対し、いつ・どのように・問題が発生した場合はどうするかの対応を考え、リストアップします。
重要管理点の管理
重要管理点は業態やメニューにより異なりますが、一般的には加熱調理の工程を重要管理点としている店が多く、食品内で細菌の繁殖しやすい危険温度帯と呼ばれる、10℃から60℃の間の状態が長時間続かないように管理する必要があります。
まずはメニューを以下の3つに分類するようにしましょう。
- 加熱せずに食べるもの
→サラダ、薬味など - 加熱後すぐに食べるもの
→ステーキ、焼き鶏、天ぷらなど - 加熱・冷却を繰り返すもの
→スープ、タレ、ソースなど
以上のように、メニューを3つに分類したら、それぞれの分類ごとにチェック項目を考えます。
- 加熱せずに食べるもの
→提供までの冷却温度・保存時間
→交差汚染の予防(生肉を触った手でほかの食品を触らないなど) - 加熱後すぐに食べるもの
→加熱時間や加熱温度の管理 - 加熱・冷却を繰り返す食品
→加熱時間や加熱温度は十分か
→冷却時間や冷却温度は十分か
一般衛生管理と重要管理点の管理の2点についてまとめたものを衛生管理計画表と呼び、HACCPの導入義務化により、全飲食店は作成が必須です。厚生労働省が飲食店向けにHACCPの考えを取り入れた衛生管理の手引書を公開しており、衛生管理計画表のテンプレートもあるため、参考にしてみて下さい。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00005.html
衛生管理計画表に基づいた計画の実施
HACCPに基づいた衛生管理計画表が作成できたら、実際に計画を実行します。従業員が混乱しないために、衛生管理計画表には、温度や時間、食材などの量といった数値を具体的に記載しましょう。また、作成した計画表は、ただ作成することが目的ではなく、見返して確認できるようにしなくてはなりません。
従業員の衛生管理の状況を後から確認するため、毎日しっかり記録するように指導しましょう。それにより、食中毒の発生原因の疑いなどをかけられた場合などに、衛生管理の状態を証明することができます。
また、現場の声に合わせ、新しいメニューの展開等に合わせて衛生管理計画を必要に応じてアップデートするようにしましょう。
衛生管理計画表は、日々実施、記録、改修を繰り返し、より良いものにし、より良いお店を作っていくようにしましょう。
◯会社概要
㈱店舗高値買取センター
住所:東京都新宿区西新宿1-4-11全研プラザSpaces 4階
•HP: https://t-kaitori.com/
•撤退希望者向け: https://t-kaitori.com/lp/
