飲食店の利益率の目安は?利益率が低い場合の対策方法も紹介

飲食店の経営者であれば売上に対する利益率は常に頭に入れておく必要があります。利益率の悪化は経営に直結し、事業が立ち行かなくなることもあります。今回は、経営の重要な指標である利益率の目安や、低い場合の理由と対策について解説していきます。

飲食店の利益率の目安

一般的に飲食店全体の利益率は、10〜15%程度を目安にすると良いと言われています。しかし、一言に飲食店といっても、居酒屋やカフェなど業態は様々あります。お酒をメインに販売する業種では、利益率が平均より高くなります。しかし、経済産業省の調査によると、飲食サービス業の利益率は−2%であり、多くの企業で赤字という結果になっています。内訳をみると、法人企業の場合は−10.9%、個人事業主の場合では25.5%と法人企業が全体の数値が低いです。

利益率とは

そもそも利益率とは、飲食店の運営で得た売上金額に対して、どのくらいの利益を得られたかの割合を示すものです。飲食店だけでなく、事業を行う上では大切な指標の1つです。利益率は、基準とする「利益」の違いにより、下記の表のようにいくつか種類があるため紹介します。

売上総利益率 (粗利率):売上総利益(粗利)が売上高に占める割合のこと。
売上高営業利益率:売上高に対する営業利益の割合のこと。
売上高経常利益率:売上高に対する経常利益の割合のこと。
売上高当期純利益率:売上高に占める純利益の割合のこと。

利益率の計算方法

利益率の計算方法は以下の通りです。

売上高営業利益率(%) = 営業利益 ÷ 売上高 × 100
営業利益 = 売上高 – 売上原価 – 販売費および一般管理費

飲食店の利益率を求める場合は、まずは「営業利益」を算出する必要があります。営業利益とは、飲食店が本業の運営を通して得た利益のことであり、「売上高-売上原価-販売費および-般管理費」で計算することが可能です。

飲食店で利益率が低い原因

利益率が低い場合に考えられる原因としてFood(食材費)と人件費(Labor)の頭文字を取った言葉である「FLコスト」がかかりすぎている可能性があります。また、集客やPR力が不足し、お客様の数がそもそも少ない、利益率の低いメニューばかりが売れているといった原因も考えられます。また、カフェや居酒屋などの場合、回転率も見逃せないポイントです。回転率は集客数、さらには利益率の悪化に大きな影響を与える要因であり、複数の要因が重なっている場合もあるため、現状を見極めて、改善には適切な対策を取る必要があります。

飲食店で利益率を上げる

上記で利益率が低い原因がある程度分かったところで、利益率を上げるためになにをすればよいかを説明します。

FLコストや必要経費の見直し

利益率を上げるために売上アップをするためにはどうするかをまず考えるかと思いますが、はじめから売上のアップを目指すよりもまずは、経費の改善を行うことが大切です。改善には、必要経費であるFLコスト(食材費・人件費)や、水道光熱費、広告宣伝費の把握から始めるようにしましょう。現状を把握し、食材のムダが出ていないか、広告費用などが適切であるかなどコスト削減できる部分がないか探していきましょう。食材にこだわることはもちろん重要なことですが、仕入先を変えることでコストを抑えられないかなども検討していくようにしましょう。

食材のロスを防ぐ

食材には賞味期限や消費期限があることから、適切に仕入れを行わなければ、消費ができずロスにつながってしまいます。原材料費を抑えるために、まずは適正な量の在庫を持つことを考えましょう。あらかじめ来店数が見込めるコース制の導入や、消費期限が近いものはお通しで活用するといった施策も食材のロスを防ぐには有効です。その他、同じ食材を使用して、様々なメニューを提供するといった活用方法もおすすめです。

損益分岐点の把握

上記ではコスト削減についてお話してきましたが、コストの削減ばかりを追求すると、料理の品質やサービスの低下に繋がりかねません。コスト削減は重要ですが、どこまですれば赤字を回避できるのか、損益分岐点を把握し目標を決めるようにしましょう。損益分岐点とはその数値を上回っていれば赤字、下回ると黒字という数値です。固定費が高い場合、損益分岐点も高く、赤字になる可能性が高まります。損益分岐点の計算方法は以下の通りです。

損益分岐点 = 固定費 ÷ (1 – 変動費 ÷ 売上高)

回転率を上げる

回転率とは客席数に対し、1日にお客さんが何人入れ替わったかを示す指標です。回転率の計算方法は以下の通りです。

回転率=1日の客数÷客席数

例えば客席数20の飲食店で1日40人来店した場合の回転率は2回と計算できます。業態にもよりますが、比較的価格が安く滞在時間が短い飲食店の場合、回転率を上げたほうが売上も伸びる傾向があります。また、食券用の券売機やタブレット端末の導入などにより、注文から提供までの時間を短縮するオペレーションの効率化も利益率の改善につながります。券売機については以下の記事にまとめていますので、併せて読んでみてください。

利益率を踏まえ提供メニューを見直す

利益率の低いメニューばかりでは、どんなに集客をしても利益率を上げることは不可能です。そのため、メニュー全体を見直し、利益が取れるメニューを開発していくようにしましょう。看板メニューに高い利益率の商品を設定し、その他のメニューを押し出す手段がよく用いられます。また、料理だけでなく、ドリンクは利益を確保しやすいメニューの1つなため、オリジナルドリンクなど、おすすめできる商品を考案するのも有効です。

利益率が上がらない場合閉店や撤退も

上記で対策についても説明しましたが、あらゆる対策を講じても、利益率の目安とされる10〜15%を下回る状況が続く場合は閉店や撤退も視野に入れておくようにしましょう。閉店や撤退の際には、原状回復工事や売却にお金がかかるため、ある程度余力のあるうちに決断をする必要があります。

また、閉店や撤退の際におすすめなのが「居抜き売却」です。飲食店内の設備や内装を残した状態で、次のオーナーに売却し、原状回復工事の費用などを抑えられるとともに、最終的に黒字になることなどもあります。

利益率について理解し、黒字を目指しましょう。

◯会社概要
㈱店舗高値買取センター
住所:東京都新宿区西新宿1-4-11全研プラザSpaces 4階
•HP: https://t-kaitori.com/
•撤退希望者向け: https://t-kaitori.com/lp/

一覧へ戻る