「駅近=正解?」繁盛店が選ぶ立地の真実

飲食店の物件探しをしていると、必ずといっていいほど目にするフレーズがあります。
それが「駅から徒歩○分」という立地条件です。

多くの人にとって、駅に近いことは「集客のしやすさ」「通いやすさ」「認知度の高さ」などを連想させ、良いこと尽くしのように思えます。とくに「徒歩1分」や「徒歩30秒」といった文言は、まるで勝利の証のように見えてしまいますよね。

しかし実際に飲食業界で働く人や、立地を何度も選んできたオーナーに話を聞いてみると、「駅近=正解」という単純な図式は必ずしも当てはまりません。むしろ駅近だからこそ苦戦するケースや、期待外れに終わるパターンも数多くあります。

ではなぜ「駅近=絶対に良い立地」という思い込みが生まれるのでしょうか?そして本当に飲食店にとって駅前立地は強いのでしょうか?この記事では、駅近物件のメリットとデメリットを整理しつつ、実際の事例や考え方を交えながら「本当に強い立地」について深掘りしていきます。

駅近立地の「わかりやすい魅力」

まず、駅前がこれほどまでに人気である理由を確認しておきましょう。飲食店に限らず、小売やサービス業でも共通して支持されるのは、やはり「人の流れ」に直結しているからです。
1. 圧倒的な通行量
 駅は都市の心臓部です。通勤・通学・買い物・観光など、ありとあらゆる理由で人が行き交います。駅改札から出てすぐの立地であれば、通行人は数千〜数万人規模にのぼることも珍しくありません。
2. 視認性の高さ
 人が多ければ必然的に視線も集まります。駅前の角地やロータリー沿いに面していれば、それだけで巨大な広告効果を持ちます。「あの店、いつも駅前にあるよね」と自然と認知されていくのです。
3. 利便性
 顧客にとって「行きやすい」というのは何よりの安心材料です。仕事帰りや待ち合わせの前に寄りやすく、飲み会や食事会の集合場所として選ばれるのも駅前の強みです。
4. 収益モデルとの親和性
 カフェやファストフード、立ち飲み居酒屋など「短時間利用」や「ついで需要」が多い業態にとって、駅前はまさに理想的な立地条件となります。

こうした理由から、駅近立地は依然として人気が高く、賃料も高止まりしています。

駅近の「知られざる落とし穴」

しかし、良いことばかりのように見える駅前にも、実はさまざまな課題が潜んでいます。

  1. 賃料の高さと固定費の重圧

駅からの距離が数分変わるだけで、賃料は数割も変動します。駅前に出せば売上ポテンシャルは確かに高まりますが、利益がついてこないケースも多い。とくに開業初期の資金力が限られているオーナーにとっては、家賃の高さが重くのしかかります。

  1. 競合の過密

人が多い場所には、必ず競合が集まります。同じチェーン店が軒を連ね、価格競争やサービス競争が激化。差別化が難しくなり、「お客さんが来ない」のではなく「選ばれない」という状況に陥りやすいのです。

  1. 通行人の質

「人通りが多い=お客さんが多い」とは限りません。駅前を通る人の多くは急いで移動中。改札を出た瞬間にスマホを見ながら歩く人がほとんどで、立ち止まって飲食店を探す余裕はありません。つまり“数は多いけれど立ち寄り率が低い”という逆説的な現象が起きるのです。

  1. 契約条件の厳しさ

駅ビルや駅直結物件は、契約条件が厳しいこともあります。保証金が高額だったり、内装規制が細かかったり。自由度が低く「自分らしい店作り」が難しい場合もあるのです。

成功事例に学ぶ「駅前で勝てる店」

それでも駅前で繁盛している店は数多く存在します。では彼らは何を武器にしているのでしょうか?
• スターバックスやドトールなどのカフェチェーン
 通勤前・待ち合わせ・帰宅前という“すき間時間”を狙った業態。駅前立地と親和性が抜群で、利用者の「ちょっと寄りたい」に応えています。
• 立ち飲み居酒屋
 駅を出てすぐ、サッと飲んで帰りたいビジネスマンをターゲットに。高回転率で家賃をカバーする戦略がはまります。
• テイクアウト特化店
 パン屋やスイーツ店など、持ち帰り需要が強い業態は駅前で強さを発揮。電車に乗る前に買って帰る、という動線を自然に作り出せます。

逆に、駅前で苦戦するのは「じっくり滞在してもらう」高単価業態です。駅前の喧騒や人の流れとミスマッチが起こり、落ち着いた食事体験を求める客層が駅近を避ける傾向もあります。

駅前以外の“勝ち筋”

近年は、SNSや口コミの力で「駅から少し歩いても行きたい店」が増えてきました。
駅から10分歩く立地でも、インスタ映えするカフェや隠れ家的居酒屋が連日満席になる例も少なくありません。

また、住宅街の中で「地元の常連さんに愛される」店や、再開発エリアで「未来の人口増加を先取りする」店も登場しています。

つまり、立地戦略は「駅前一択」から「業態に合わせて柔軟に選ぶ」方向にシフトしているのです。

まとめ:駅前は万能カードではない

結論として、駅前立地は確かに魅力的であり、特定の業態には強力な武器になります。しかしそれは万能カードではなく、リスクや制約も多い。

重要なのは「駅前だから」ではなく「駅前にある意味」を明確にできるかどうか。
• ターゲットは誰か?
• そのターゲットは駅前でどんな行動をしているか?
• 駅前という高い家賃を回収できるモデルになっているか?

この問いに答えられるオーナーこそが、駅近立地で成功を掴めるのです。

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