知っておきたい「用途地域」の知識!飲食店は開業できる?店舗兼住居を建築できる?
「用途地域」とは、法律で土地を13の地域に分け、地域にごとに建築制限を定めたものです。用途地域によって、飲食店を開業できないなどの制限が設けられていることがあります。そのため飲食店開業の物件探しの際に知っておきたい「用途地域」の基本を今回は説明していきます。
契約前に「用途地域」の確認
日本では、暮らしやすさ、働きやすさ、利便性、景観などを守るなどの理由から、地域により建築できる建物の種類、用途の制限が法律にて定められています。これを「用途地域」と言います。用途地域は13種あり、飲食店開業が許可される地域、許可されない地域に分かれています。また飲食店を開業ができたとしても、面積の制限を受ける地域もあります。そのため、開業したい建物が見つかったら、用途地域を初めに確認することが重要です。また「飲食店が入っていた建物だから開業できる」と断定することはできませんので要注意です。なぜならば、以前のテナントが無許可営業をしていた可能性は、ゼロではないためです。
用途地域については、役所の窓口で問い合わせれば確認することができます。また役所によっては、インターネット上に用途地域が分かるようにマップを公表していることもあります。例えば東京都であれば、都市整備局のホームページにて確認が可能です。また最も注意すべき点は、建物のすべてが営業可能な用途地域に入っていないと開業ができないことです。建物によっては「用途地域の境にある」などの場合があるため、判断に迷った際は、必ず役所に確認してください。
飲食店が出店できる用途地域と出店できる面積制限について
開業の制限から見ると、「飲食店や喫茶店」、「深夜に酒を提供する飲食店」(バーや居酒屋)、「接待等が伴う飲食店」(スナックなど)の3つの業態に飲食店は分けることができます。そのため、以下では、どの地域でどの業態が出店できるかを解説していきます。
■飲食店や喫茶店
基本的にはどの地域でも開業することが可能です。しかし、住宅専用地域では制限があります。
・第一種低層住居専用地域
店舗兼住宅で、店舗床面積が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満のもののみ可。
・第二種低層住居専用地域
店舗兼住宅で店舗床面積が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満のものは可。喫茶店なら店舗床面積が、15㎡以下で2階以下なら可。
・第一種中高層住居専用地域
500㎡以下で2階以下なら可。
・第二種中高層住居専用地域
1500㎡以下で2階以下なら可。
・田園住居地域
その地域で生産された農産物を使用する場合は、店舗や飲食店の部分が2階以下で床面積の合計500㎡まで可。農産物を使用しない場合は、店舗や飲食店の部分が2階以下で床面積の合計が150㎡まで可。
制限のない地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
■深夜に酒を提供する飲食店
以下が深夜酒類提供飲食店営業届の必要な店が営業できる地域です。
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
■接待等が伴う飲食店
スナック等、風俗営業1号許可が必要な店が営業できる地域は以下の通りです。
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
また、上記の用途地域ルールとは別に、「保全対象施設(学校や病院など)」の近くでは営業ができないという制限があります。

住宅地に店舗兼住宅を建てる際の注意点
一軒家の1階を店舗、2階を住宅にして開業するケースが近年増えてきました。店舗兼住宅とは、店舗と住宅の行き来が可能な住宅のことで、建築医基準法では「兼用住宅」と言います。一方で、中で行き来が出来ないものは「併用住宅」と言います。また用途地域の制限が少ないのは兼用住宅です。「第一種低層住居専用地域」では、原則として店舗を建てることはできませんが、店舗床面積が50㎡以下かつ建物の延べ面積の2分の1未満のものは建築可能です。
しかし、50㎡とは約15坪なので、小さい店舗になりますので業態が限られてきます。そのため、店舗のレイアウトに工夫を凝らしたり、テイクアウト限定店舗にするなどの工夫が必要です。それに加え、店舗兼住宅は店舗と住宅の行き来が可能な住宅のため、店舗部分を賃貸することはできません。
そのため上記のメリットとデメリットを踏まえた上で、「第一種低層住居専用地域」以外の地域で店舗兼住宅を建てることを検討してみるのもよい方法です。
物件、土地探しの際には用途地域の情報と、地区計画や建築協定等でその地域で街づくりのルールを定めていることもありますので、そちらについても確認し、理想のお店を作っていきましょう。
◯会社概要
㈱店舗高値買取センター
住所:東京都新宿区西新宿1-4-11全研プラザSpaces 4階
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