飲食店開業時に必要な「保険」。それぞれのメリットと注意点を紹介
飲食店を開業するには様々な費用がかかりますが、忘れがちなのが「保険」です。火災保険や地震保険などの災害に対する保険だけでなく、従業員やお客様とのトラブルも増えているため、保険の種類も近年では多様化しています。今回は、飲食店を開業する際に必要な保険の種類や、保険に入るメリットなどを紹介していきます。
保険のメリット・デメリット
保険への加入をなかなか決められない原因として「料金が高い」「掛け捨てはもったいない」といった声が多くあります。しかしそれ以上に、「保険がどういう場合に役立つのかわからない」と考えている方も多いかと思います。
しかし、飲食店は店舗、お客様、従業員、経営者など、多くの人との関係性を持つことになり、かつ飲食物を扱う業種であるため、非常に多くのリスクが考えられます。これは、お店が被害者になることもあれば、反対に加害者になることもあるということです。
少額であれば良いですが、店舗が損傷したり、スタッフが大怪我をしたり、もしくは訴えられたりなど、場合によっては非常に大きな費用が必要になることも考えられます。最近は金額的に加入しやすい保険も多くあるため、自分の店では対応できないと思う部分に関しては、前向きに検討したほうが良いです。
飲食店向けの保険の種類
ここからは、飲食店向けの保険の種類について代表的なものを紹介していきます。
火災保険
飲食店の保険で一番に思いつくものといえば、火災保険かと思います。法律上、火災保険の加入は任意とされていますが、賃貸契約書には保険加入をするように記載がされていることが多いです。加入金額は店舗の面積などによって異なりますが、最低でも年間１～２万円は必要です。物件契約の際か、または更新月に、店舗の契約年数に応じた保険金額を支払うことが一般的です。
店舗向けの火災保険の場合、什器や備品、設備などが対象ですが、保険会社やプランによって補償の対象も変わる可能性があるため注意が必要です。何に対していくらの補償がされるか、契約前に事前に確認をするようにしましょう。
その他、自店が原因の出火によって近隣の店舗に延焼による損害を与えてしまう場合に備えて「失火見舞費用保険金」や「類焼損害補償」も併せて検討するようにしましょう。これらは、通常の火災保険では補償されない、他の店舗への補償も対象になります。
労働保険
従業員に対する保険加入も必要です。例えば従業員を一人でも雇用している場合、事業者は労働保険に加入する必要があります。労働保険とは、労災保険と雇用保険の総称のことです。また、「労災保険」は従業員の負傷や病気、死亡の場合に、「雇用保険」は失業した場合などに適用されます。
その他、近年は店側と従業員側で「雇用トラブル」も増えています。例えば、パワハラやセクハラ、不当解雇などを理由とする従業員からの損害賠償請求などがこれの一例です。パワハラなどはあってはならないことですが、問題になってからでは手遅れです。万が一裁判などになってしまったら本業にも大きな影響を与えてしまいます。特に多くの従業員を雇用している場合は、「雇用トラブル」に関する保険の導入も検討しましょう。
食中毒の他、お客様に怪我を負わせてしまった時の保険
飲食店では、営業中にお客様に危害を加えてしまうことがあります。例えば代表的なものとしては食中毒が挙げられますが、他にも様々なケースが考えられます。「店員がコーヒーをこぼして火傷をさせてしまった」、「看板が倒れてきて、お客様を怪我をさせてしまった」、「お預かりしたコートを汚してしまった」など、開業前には想像もできなかったようなトラブルが起こる可能性もあります。そのような場合でも、飲食店向けの保険パッケージに入っていれば安心です。1ヶ月あたり数千円程度から加入可能なものも多いので検討してみてください。
その他多種多様な保険
飲食業界で最近大きな問題となっているのがドタキャン被害です。宴会予約が無断キャンセルされ、一晩で数十万円の損害になったという話もあります。このようにお客様が無断でキャンセルし、現れないことを「ノーショー」と呼び、「ノーショー」に対する保証をする保険も登場しています。
その他飲食店のSNSやネット上でのトラブルも近年では問題になっています。オーナーのちょっとした発言やバイトスタッフの軽率な行動が炎上に繋がることがあります。このような「事故」が起きた場合に保障してくれるネット炎上保険も登場しているため、InstagramやX（旧Twitter）などネット上の発信に力を入れている店の場合は検討してみましょう。
近年は火災などの一般的な保険だけでなく、時代の流れと共に保険も多様化しています。予算が限られている場合には、飲食店向けや店舗向けのパッケージ保険への加入がおすすめです。例えば火災と食中毒がセットになっているなど、幅広く対応している場合があります。なんとなく保険を選ぶのではなく、お店の特性に応じて保険を選ぶことが重要です。本業に集中できるよう、いざという時のために保険の加入を検討してみて下さい。
◯会社概要
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