同業態だけが競合店だと思ってない?飲食店の競合調査の重要性と調査後のポイントを解説

開業前の近隣店リサーチは、とても重要です。特に自店と客層が被りそうな飲食店を調べる「競合調査」は、どのように調査するのか、その結果をどう活かすかが、物件を選ぶうえで重要なポイントです。今回は、競合店調査の重要性と調査後のポイントを解説します。

「競合調査」でわかること

調査対象の飲食店が、何年間かその地域で営業しており、その地域に浸透している場合、その店から多くのことを知ることができます。何が分かるかについて以下で説明します。

客層とお客様のニーズ

例えば調査対象の飲食店に足を運ぶことで、その地域はサラリーマンやOLが多いのか、主婦層や学生が多いのか、少人数の客が多いのかグループ客が多いのかなどといった客層を知ることが可能です。また、ランチ需要の有無、打ち合わせ利用が多いなど、その客層ごとの「ニーズ」も知ることができます。客層とニーズの調査はそれほど複雑ではありませんが、時間帯や曜日によって変化する可能性があるため、1度だけ足を運ぶのではなく何回も足を運び時間をかけて調査をする必要があります。

客単価が分かる

客層とお客様のニーズに加え、「客単価」も競合調査で把握することが可能です。例えばコーヒーやビール1杯の値段やランチの最低価格、夜の客単価は調査しておきましょう。また最低価格がどれくらいだとお客様は入りやすいのか、客単価が安い店と高い店の客層やニーズどのように変化するかなども調査しましょう。

競合調査においては、上記の「客層」「お客様のニーズ」「客単価」の3点の他に。その関連性の分析が重要です。時間も手間もかかる作業のため、あらかじめ調査対象を数店舗に絞り時間帯別、曜日別などでリサーチを進めていくようにしましょう。

同業態の調査だけでなく店を利用する「理由」を考える

次に調査対象とする店舗をどのように決めるかを説明します。例えばカフェを開く場合カフェ、居酒屋を開く場合居酒屋を調査、となりがちですが、それだけでは調査としては不十分です。飲食店の利用者には様々な客層やお客様のニーズがあります。そのため、同業態だけでなく、同じ客層やニーズで利用されている店も対象に調査を行う必要があります。

お客様は、その業態だけに絞って店を選んでいるとは限りません。例えば居酒屋に行きたい場合、「仲間とワイワイ騒ぎたい気分」や「お酒が飲みたい気分」であったり、その店を利用する「理由」が違います。上記の例の場合、居酒屋だけでなく、バーなども調査する必要があります。そのため利用者の気分、利用シーン、予算などの視点から自店と近い店を競合調査の対象して新しいヒントを見つけましょう。

その他、調査に加えた方が良い項目として、その店の「初来店のきっかけ」と「リピートしたくなる仕掛け」を調査しましょう。新規集客をするためにどのようなことをしているか?どのような利用シーンを想定しているか?などをチェックしましょう。それに加えて、その店のリピート率については、実際に店に行かないと分からないが多く、盛り付けやサービス、接客などを調査しましょう。通いたくなる理由や口コミしたくなる要素が見つかれば調査時に記録しておきましょう。

またここで重要なのが、競合調査は調べたら終わりではありません。自店のポジショニングを決めるための指針を作ることが最終的な目的です。調査を丁寧に行うことで、自店のコンセプトをより明確にすることができます。

競合店調査後にすることとポイント

競合店調査を進めていく中で、様々なデータや情報を得ることができますが、競合店を真似るだけでは、個性のある店を作ることは難しいです。競合店調査により得た価格帯やお客様のニーズのデータから一歩踏み込んで新しい価値観を打ち出すことが重要です。

具体的な方法は、競合店調査で得られたデータを元に「優位性」を作り上げましょう。例えば、地域のランチ相場が900円の場合、700~800円の料理を提供することができれば、「安さ」や「利用しやすさ」において優位に立てます。しかし「安さ」を売りにすることはあまりおススメしません。そのため、「差別化」が効果的な戦略としてあげられます。仮にランチ価格が1200円と高くても、ゆっくり寛げる空間や、高価な食材を使ったりと他店と利用動機の区別することができれば、集客に繋げることが可能になります。

上記のことから分かることは、競合店調査において最も大切なことは、実在するニーズを元に「潜在的なニーズ」を掴むことだといえます。900円のランチが相場だからといって、全てのお客様がそれに満足しているとはいい切れないため、「差別化」が重要になってきます。地域によっては、安いものより高級感があるものが実際には求められている可能性もあるからです。

最後に、お客様は一体何を求めているのか、これからは何が求められるのか?常に必要とされる店であり続けるために、競合店調査は新規出店時だけでなく、継続的に行っていきましょう。

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