敷金と保証金の違いと返還額や支払いの相場について詳しく解説
飲食店の物件契約の際に「敷金」と「保証金」が必要になります。しかし、この二つのお金が何であるか、よくわからないという方もいらっしゃると思います。今回は敷金と保証金の違い、支払いの相場、返還される金額の目安などを解説します。
敷金、保証金共に貸主に預けるお金
物件を借りる際、借主は毎月家賃を支払います。しかし、売上の減少を理由に支払いができない場合があるかもしれません。また、退去時、借主には原状回復をする義務がありますが、借主が原状回復できない場合、貸主が工事を行わなくてはなりません。このようなリスクに備えるため、借主が貸主に預けるのが「敷金」と「保証金」です。
この二つのお金については民法の「第622条の2」に明記されています。
「敷金とは、家賃滞納や原状回復工事費用を『担保する』ために、借主が貸主預けるお金」のことであり、「名目が保証金であっても、担保を目的としたお金であれば、敷金にあたる」と記載されています。つまり敷金と保証金は同じ性質を持つと法的に規定されています。
また、民法の改正によって次のことも明記されています。「借主から貸主に滞納した家賃を敷金・保証金から引くように求めることはできない」とあり、契約中に家賃の滞納があった場合、貸主は滞納家賃相当額を敷金・保証金から差し引くことができます。しかし、借主側が家賃を支払わずに、敷金・保証金を充てて欲しいと依頼することは、認められません。
敷金、保証金の相場は家賃10カ月分
一般の居住用物件は地域差もありますが敷金、保証金の相場は家賃1~2カ月分程度なのに対し、店舗物件の相場は家賃の10カ月程度と非常に高額です。中には2年分と設定されるところもあります。これは、居住用物件より店舗物件の方が家賃や水道光熱費の滞納が発生しやすいためです。また、店舗物件の場合、原状回復工事に高額な費用が必要であり、それに備えておく必要があるからです。しかし、最近では空きテナントにしないよう、契約しやすいように6カ月~8カ月くらいで設定されている物件も増えてきました。その他、工事費用が安い軽飲食では、2カ月~4カ月程の物件もあります。
敷金、保証金は返還されるのか
上記で述べたように、敷金と保証金は同じ性質を持つと法的に規定されました。しかし、返還方法が違います。
敷金
敷金は一般的に、物件を明け渡した際に、債務を清算の上、返還されます。しかし家賃や水道光熱費の滞納、原状回復工事費用、追加工事費用などの必要経費が高額になれば、預けている金額では足りず、追加の請求をされることもあります。また、担保目的である場合、退去時には貸主から借主に返却される可能性があること、その条件は「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」と民法には明記されています。そのため、契約期間が満了しただけでは敷金を返してはもらえる訳ではなく、物件に荷物を残したままのような状態では「賃貸物の返還」ができたことにはならないので、敷金は返ってきません。
保証金
保証金は、返還されるものの、契約書に「償却」の記載があることが多いです。これにより、債務の清算に加え、償却費が差し引かれたものが返還されます。償却は主に「年○%償却」「解約時償却○カ月分」「償却○カ月」「実費償却」と記載があり、契約内容によって異なります。返金時期も契約によって異なります。「引き渡し確認後3カ月以内」などと明記されていれば安心ですが、時期がまったく記されていないこともよくあります。この場合、不動産会社へ問い合わせが必要です。店舗物件の敷金・保証金の返還トラブルは多くあります。もし差し引かれる金額に納得がいなかい場合、確認を求めることも可能です。特に原状回復工事額に納得がいかない場合、見積もりを確認させてもらう、必要に応じて相見積もりを取るなどして交渉しましょう。
敷金と保証金の違いは明確とはいえません。そのため、一般的な理解に加え、自分の契約ではどういった記載があるのかを確認し、理解することが重要です。
◯会社概要
㈱店舗高値買取センター
住所:東京都新宿区西新宿1-4-11全研プラザSpaces 4階
•HP : https://t-kaitori.com/
•撤退希望者向け : https://t-kaitori.com/lp/
