飲食店の閉店手続き完全ガイド|最初の7日から退去までのチェックリスト
結論:飲食店の閉店手続きは、最初に賃貸借契約書と店舗の売却可能性を確認し、その後に解約通知・従業員対応・行政届出を時系列で進めるのが基本です。厨房機器の処分や原状回復工事を先に決めると、居抜き売却の選択肢を狭めることがあります。
この記事では、閉店を決めた直後の7日間から最終営業、退去後の届出までを一つのチェックリストにまとめます。店舗ごとに契約・業態・雇用状況が異なるため、期限は必ず契約書、管轄行政機関、専門家へ個別に確認してください。
飲食店の閉店手続き|最初に押さえる8項目
- 賃貸借契約書の解約予告・原状回復・造作譲渡条項を確認する
- 解約通知前に、居抜き売却と原状回復の両方を比較する
- 厨房機器・造作・リース品・レンタル品を区分する
- 貸主・管理会社へ相談する順番と説明内容を決める
- 従業員、仕入先、予約客への通知日を決める
- 税務・社会保険・雇用保険・営業許可の届出を洗い出す
- 最終営業日、明渡し日、各届出期限を一枚にまとめる
- 鍵の返却、精算、書類保管まで担当者を決める
閉店手続きの全体像を4段階で整理する
| 段階 | 主な作業 | 判断を急がない項目 |
|---|---|---|
| 閉店決定前〜直後 | 契約確認、資金繰り、店舗査定、関係者の整理 | 設備処分、解約通知、原状回復業者の確定 |
| 退去方針の決定 | 貸主との協議、居抜き売却と原状回復の比較、工程表作成 | 売却可能性を確認する前の解体発注 |
| 最終営業まで | 従業員・取引先・顧客への連絡、在庫調整、契約解約 | 所有権が不明なリース品の譲渡 |
| 営業終了〜退去後 | 設備引渡しまたは撤去、行政届出、精算、鍵返却 | 届出期限を自己判断すること |
閉店を決めた最初の7日でやること
1日目:賃貸借契約書を確認する
解約予告期間、原状回復の範囲、造作譲渡・名義変更の制限、指定工事業者、保証金・敷金の返還条件を確認します。解約通知を出すと明渡しまでの時間が動き始めるため、通知前に複数の退去方法を比較することが重要です。
詳しい確認箇所は、飲食店の解約通知と撤退スケジュールで整理しています。
2日目:設備を処分せず一覧化する
冷蔵庫、製氷機、食器洗浄機、熱機器、ダクト、グリストラップ、空調、客席家具について、メーカー、型番、購入時期、動作状態、所有者を記録します。リース品やレンタル品は譲渡できない場合があるため、契約書と照合してください。
3日目:査定に必要な資料と写真をそろえる
賃貸借契約書、平面図、設備表、工事図面、リース契約書、修繕履歴を集めます。外観、客席、厨房全景、主要設備、分電盤、ガスメーター、排気設備などを片付ける前に撮影します。
撮影箇所と資料一覧は、飲食店の居抜き査定で見られる7項目を確認してください。
4日目:居抜き売却と原状回復を総額で比較する
査定額だけでなく、原状回復工事、設備撤去、廃棄、明渡しまでの賃料、光熱費、リース残債を含めて比較します。「いくらで売れるか」ではなく、「撤退に伴う支出と時間をどこまで減らせるか」で判断します。
5日目:貸主・管理会社への相談内容を整理する
希望する明渡し時期、店舗の現状、居抜きでの引継ぎ希望、候補者の審査方法を整理します。造作譲渡や賃借権の引継ぎは、貸主・管理会社との調整が前提です。契約書だけで結論を出さず、承諾条件を確認してください。
6日目:従業員と取引先への通知計画を作る
従業員、仕入先、予約客、リース会社、決済サービス、通信、廃棄物回収などを一覧化し、通知日と担当者を決めます。従業員の雇用終了を伴う場合、解雇予告など労務上の確認が必要です。
7日目:一枚の撤退スケジュールを作る
最終営業日、解約通知日、査定・内見期間、貸主協議、従業員通知、行政届出、設備引渡し、退去立会い、鍵返却を日付順に並べます。期限、担当者、完了確認欄を設けると抜け漏れを防げます。
行政・労務・社会保険の確認先
閉店に必要な届出は、個人・法人、従業員の有無、取得している営業許可、深夜営業や酒類販売の有無などで変わります。次の表を「確認先リスト」として使い、各窓口へ個別に確認してください。
| 確認先 | 主な確認事項 | 一次情報 |
|---|---|---|
| 税務署 | 個人事業の廃業、給与支払事務所、消費税、青色申告など該当する届出 | 国税庁「廃業する場合」 |
| 保健所 | 飲食店営業許可・営業届出の廃止、許可証の扱い | 厚生労働省「食品衛生申請等システム」 |
| 年金事務所 | 事業所廃止時の健康保険・厚生年金保険の手続き | 日本年金機構「適用事業所が廃止等となったとき」 |
| 労働基準監督署・ハローワーク | 解雇予告、労働保険、雇用保険、離職票など | 厚生労働省・労働局「解雇の予告」 |
| 警察署・消防署 | 深夜酒類提供、風俗営業、防火管理者など取得・提出済みの届出の廃止 | 所轄窓口へ確認 |
解雇を伴う場合は、原則として少なくとも30日前の予告、または不足日数に応じた解雇予告手当が問題になります。ただし例外や雇用契約ごとの判断があるため、労働基準監督署や社会保険労務士へ確認してください。
閉店前に集める書類チェックリスト
- 店舗の賃貸借契約書と更新・変更覚書
- 貸主・管理会社の連絡先
- 厨房機器・造作・家具の一覧
- 購入品、リース品、レンタル品を判別できる契約書
- 平面図、設備図、工事図面、修繕履歴
- 営業許可証と開業時に提出した届出の控え
- 従業員名簿、雇用契約書、給与・社会保険資料
- 仕入、決済、通信、予約、廃棄物回収など継続契約一覧
- 売掛金、買掛金、預り金、回数券・予約金の一覧
- 鍵、警備カード、取扱説明書、保証書
居抜き売却・原状回復・設備処分の判断基準
| 選択肢 | 先に確認すること | 注意点 |
|---|---|---|
| 居抜き売却 | 貸主の承諾条件、店舗全体の需要、引渡し期限 | 設備だけを先に処分しない |
| 原状回復 | 契約上の範囲、指定業者、見積内訳、工期 | 「一式」見積では数量と単価を確認する |
| 設備の個別売却 | 所有権、搬出経路、撤去後の補修 | 店舗全体の引継ぎ価値を下げる可能性がある |
原状回復見積もりの確認方法は、飲食店の原状回復費用と見積もり7項目で詳しく解説しています。
閉店手続きで避けたい5つの失敗
- 契約確認や査定の前に解約通知を出す
- 所有権を確認せず設備を譲渡・廃棄する
- 口頭合意だけで造作譲渡を進める
- 行政届出の期限を古い記事だけで判断する
- 閉店日だけを決め、明渡し日から逆算しない
造作譲渡を進める場合は、造作譲渡契約書で確認すべき8項目もあわせて確認してください。相談先を比較する場合は、居抜き売却業者の比較ポイントが役立ちます。
今日30分でできる準備
- 賃貸借契約書の「解約」「原状回復」「譲渡・転貸」をスマートフォンで撮影する
- 厨房・客席・外観を片付ける前に撮影する
- 購入品、リース品、レンタル品を色分けして一覧にする
- 最終営業日と明渡し希望日を書き、間の日数を確認する
- 設備処分前の状態で、店舗全体の売却可能性を相談する
解約通知や設備処分の前に、撤退方法を比較しませんか?
店舗高値買取センターでは、飲食店の閉店・移転・居抜き売却について無料相談を受け付けています。契約書と店舗写真があると、確認すべき順番を整理しやすくなります。閉店を社内で検討している段階でもご相談いただけます。
※本記事は一般的な確認手順をまとめたもので、個別の法律・税務・労務判断を行うものではありません。契約条件、届出先、提出期限は変更される場合があります。2026年9月4日に一次情報を確認しています。個別案件は貸主・管理会社、管轄行政機関、弁護士、税理士、社会保険労務士などへご確認ください。
