居抜きで店を売ると、従業員の雇用も引き継がれる?
内装や厨房機器の売却が決まっても、それだけで従業員の次の勤務先まで決まったとは考えないでください。雇用を続けたい場合は、設備の条件とは分けて、買い手の意向、労働条件、本人への説明と確認を進めます。
「従業員が働き続けられることを大切にしたい」という希望は、売却相談の最初に伝えましょう。ただし、希望と決定事項は分けて扱います。
まず、何を譲る話なのかを確認する
居抜きという呼び方だけでは、取引の範囲は分かりません。厨房機器や内装の譲渡なのか、事業の譲渡も含むのか、相談先と買い手へ確認してください。
厚生労働省の事業譲渡等指針では、事業譲渡で労働契約を承継させる場合、対象となる労働者の個別の承諾が必要とされています。労働条件を変更して承継させる場合には、その変更についても本人の同意が必要です。買い手と売り手だけで、従業員の勤務先や条件を確定しないことが大切です。
会社分割や合併などは仕組みが異なります。自店の取引がどれに当たるか、どの手続きが必要かは、契約内容を示して弁護士や社会保険労務士などへ確認してください。
買い手の「働いてほしい」を具体的にする
「今のスタッフに残ってほしい」という話が出ても、その一言だけでは条件が分かりません。次の内容について、決まっている点と検討中の点を分けます。
- 雇用主になる会社・個人
- 予定する業務と勤務場所
- 賃金、勤務時間、休日などの条件
- 働き始める予定日と、引渡しまでの勤務の扱い
- 従業員への説明担当者と、質問を受ける窓口
条件がまだ示されていなければ、「従来どおり働ける」と説明するのは避けましょう。口頭で聞いた内容は、確認日と担当者を記録し、書面で確認できるか尋ねます。
従業員への説明を、引渡し直前まで残さない
同指針では、事業譲渡の状況、譲受会社等の概要、労働条件などを十分に説明し、真意による承諾に向けて、時間に余裕を持って協議することが示されています。
売却情報の公開を抑えたい場合でも、雇用の説明を後回しにしてよいわけではありません。誰に、いつ、何を説明するかを専門家と相談し、質問や検討の時間を設けます。
同意が得られない場合や、買い手が雇用を予定していない場合も、当然に退職・解雇になると決めつけないでください。現在の雇用契約をどう扱うかは、個別に確認が必要です。
営業中の情報管理は、営業を続けながら居抜き売却する際の確認事項も参考にしてください。
売却相談と雇用の相談に、同じ状況メモを使う
最初から完成した計画を用意する必要はありません。次のように、事実と希望を分けて書くと相談しやすくなります。
- 現在の状況:営業中/休業中、売却の検討段階
- 希望:従業員の継続勤務も含めて検討したい
- 買い手の回答:未確認/意向のみ確認/条件の提示あり
- 従業員への説明:未実施/説明済み、残っている質問
- 日程:希望する営業終了日・引渡し日、未確定の日付
- 次の確認:誰が、何を、いつまでに確認するか
初回の一般相談では、従業員の氏名や個別の給与資料を一斉に送らず、まず人数や雇用形態などの概要を整理しましょう。詳しい資料が必要になったら、提出先と目的、必要な範囲を確認します。
相談文は、例えば次のようにまとめられます。
「飲食店の居抜き売却を検討しています。設備だけでなく、従業員が働き続けられる可能性も重視したいです。買い手の意向は[未確認/確認した内容]、従業員への説明は[現在の状況]です。売却条件と雇用の確認を分けて進めたいので、必要な資料と確認先を整理したいです。」
雇用の希望は、店舗の売却条件と一緒に伝える
店舗高値買取センターへの閉店・居抜き売却の相談では、店舗の場所や希望日程に加え、従業員の雇用について大切にしたい点もお知らせください。
店舗の売却成立や雇用継続を保証するものではありません。労働契約の承継、条件変更、退職・解雇などの判断は、弁護士や社会保険労務士などの専門家へ個別に確認してください。
参考:厚生労働省「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」。2026年10月24日確認。本文の整理メモと相談文は、相談準備用のひな形です。
