
飲食店の厨房で行う熱中症対策
飲食店にて火を使う厨房は特に暑さが充満しやすく、サウナのようになりがちです。
暑さの中働く厨房の従業員が、万が一熱中症で倒れてしまったら、大怪我に繋がりかねません。そのため、誰も熱中症にならないためにも、日頃から働きやすい環境を整えておきましょう。
2025年6月施行の職場の熱中症対策
2025年6月1日から、改正労働安全衛生規則により、一定の暑熱環境で作業を行わせる事業者には、熱中症の報告体制の整備、重篤化を防ぐ手順の作成、関係作業者への周知が義務付けられました。
対象は、WBGT(暑さ指数)28度以上または気温31度以上の環境で、継続して1時間以上または1日4時間を超える作業が見込まれる場合です。
厨房や洗い場も、実際の温度・湿度と作業時間が基準に当てはまるか確認してください。
対象となる場合は、営業前に「誰へ報告するか」「作業を離脱してどこで身体を冷やすか」「医療機関への搬送・救急要請をどう判断するか」を店舗ごとの手順にし、従業員へ周知します。
水分補給だけで終わらせず、責任者が不在の時間帯の代行者と緊急連絡先まで決めておきましょう。詳しい要件と対応例は、厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」で確認できます。
経営者が行うべき熱中症対策
厨房は基本的に、厨房を25度以下、湿度80%以下に調節しておくようにしましょう。従業員が快適に働く環境が整え、より良いパフォーマンスを発揮してもらえるような環境作りをすることは経営者として重要な役割です。
具体的な対策は下記の通りです。
- スポットクーラー
- 休憩
- 制服
- 清掃
それぞれを説明します。
1. スポットクーラー
厨房全体をしっかり冷やそうと思うと、なかなか難しいため、必要に応じてスポットクーラーを使用することで、料理人たちに働きやすい環境を整えられます。
スポットクーラーとは、床に置いて使う小型の空調機器です。また、価格もそこまで高額ではありません。スポットクーラーは、キャスターが付いており、移動させて使うことができ、狭い場所にも設置できるためとても便利です。
しかし、小型空調機のホースからは冷気が出てくる一方で、背後に排熱する作りになっているものがほとんどなため、調理人が複数人散らばっている場合、立ち位置を調節する必要があります。
2. 休憩
どれだけ忙しい場合でも、厨房にいる従業員にはこまめに休憩取ってもらうことで、熱中症予防しましょう。水分補給を呼びかけ、脱水症状になることを回避しましょう。
また、体調が少しでも悪いと感じたらすぐに休みを申しだせるような環境作りも重要です。
もし誰か一人でも体調を崩した場合、提供が遅れることがある旨をホールスタッフからお客様に伝達してもらい、理解のある方にだけ通っていただくようにするなどの対策を行い、従業員の健康を第一に考えましょう。
売り上げアップのために盲目にならず、従業員を大切にすることを第一に考えましょう。
3. 制服
熱中症対策のために、涼しい制服を用意しましょう。コックコートは、耐熱性や耐火性に優れている一方で、通気性が悪いものが多いです。
そのため、例えば、速乾性の優れている「麻」を使った素材なら、汗をかいても肌に張り付いて気持ち悪く感じにくく、ベタつきを防止してくれるため導入を検討しましょう。制服を変えるだけで、働きやすさも一変します。
4. 清掃
排気や吸気設備がほこりで詰まってしまうと熱がこもりやすくなります。
外の新鮮な空気を吸気し、厨房内にたまった暑苦しい空気を排気してくれるための設備は、定期的に清掃して状態を万全に整えておく必要があるため、定期的に清掃しましょう。
また、排気ダクトやファンをきれいにするだけで、エアコンの効きもかなりよくなるため、熱中症対策だけでなく、節電にもつながります。
従業員がすべき熱中症対策
厨房は熱がこもりやすく、上記の様な暑さ対策をしても涼しいと感じにくいこともあります。そのため従業員自らも日ごろから意識的に以下の様な対策を心がけてもらう必要があります。
- 体調管理
- 水分と塩分の摂取
それぞれの注意点を、詳しく解説します。
1. 体調管理
他の体調不良とタイミングがあってしまったとき、熱中症は特に発症しやすくなります。そのため下記のような状態では働かないように、従業員へ声をかけましょう。
・栄養不足
・寝不足
・二日酔い
1日無理をするだけでも、次の日の体調不良につながり、熱中症で倒れる可能性が高まります。従業員には、あらかじめ熱中症になりやすいケースを把握してもらうことで、無理して働く状況を回避してもらうようにしましょう。
体調不良が起きているとき、うまく発汗機能が働かず、体に熱がこもってしまう原因になりえます。
日頃からしっかり栄養ある食事をし、睡眠をたっぷりとって健康体でいてもらえるように、無理のない職場環境を作っていきましょう。
2. 水分と塩分の摂取
また忙しい時は、体調不良が起きたときの異常を感じにくいです。しかし、忙しい時こそ、忘れずに水分と塩分をとるタイミングを作るように心がけましょう。
アルコールやカフェインは利尿作用をうながしてしまうため、暑い厨房で働く従業員は、仕事中はこれらの摂取は避けるように心がけましょう。
また、汗をかくことにより塩分やミネラルが放出されてしまうため、塩分をしっかり摂取することも大切です。塩分補給用のタブレットや梅干しを経営者は厨房に用意し、定期的に摂取してもらうようにしましょう。
熱中症を甘く見ない!
熱中症は毎年死亡例が出ているほど、楽観視してはいけません。人が倒れてからでは遅いので、かならず日頃から対策を徹底しましょう。
暑い厨房を快適な環境にするためには、費用がかかることもありますが、従業員が快適に働けないことを理由にミスが生じ、お客様に迷惑がかかってしまえば、お店の悪い評価に繋がってしまいます。
また、もし従業員が熱中症で倒れてしまった場合には、お店の経営自体が難しくなります。
厨房の暑さ対策は、必ず万全にして営業しましょう。
